街角に建つ、見慣れた「交番」ですが、その英語表記を見たことはありますか?
その多くに「KOBAN」と書いてありますよね。
「KOBAN」って「こばん(=小判)?」って読めるけど、どうして「POLICE」ではなくて「KOBAN」なのでしょうか。
調べてみました。
交番の英語表記は「Police box」?「KOBAN」?
「交番」を英語に翻訳すると「Police box(ポリスボックス)」と出てきます。
それでは、この「ポリスボックス」とはどのようなものなのでしょうか。
調べてみると、海外の可愛らしくレトロなデザインのものが出てきました。
写真などを見ると、まるで電話ボックスのような小ささで、屈強な警察官が二人も入ればいっぱいになりそうなサイズです。
この「ポリスボックス」はアメリカではじまり、当時はそこに警察に繋がる電話が設置され、街に出た警察官が警察と連絡を取るために使われていました。
まさに、電話ボックスとしての役割があったのですね。
やがてそれがイギリスに広まり、単なる警察への連絡拠点としてだけでなく、警察官が巡回活動をする時の休憩所としても使われるようになりました。
しかし、日本の「交番」のように、常に警察官がいて、街の安全を見回りしたり、落とし物を預かったりしてくれるようなサービスは行われていませんでした。
現在でも、イギリスなどの警察官は、基本的にはパトカーに乗って街を巡回し、拠点は地域の警察署という形になっており、日本の「交番」とは、システムが少し違うのです。
このように、日本の「交番」は海外の「ポリスボックス」とは仕組みが違うことから、日本の交番の英語表記は独自の表記である「KOBAN」となったのです。
「KOBAN」システム?
日本の「交番」は、地域の警察署から派出された形で、それぞれの街の要所に設置されています。
「交番」は、24時間体制で警察官が交代で勤務しており、街の安全を守ったり、道案内をしたり、落とし物を預かったり住民の相談に乗ったり、などなど、地域に根差した活動が行われています。
この、日本では当たり前になっている「交番」ですが、世界的には珍しい仕組みです。
この仕組みが注目をあびるきっかけとなったのが、1976年、ニューヨーク州立大学特別教授のデビッド・H. ベイリーという方が、日本の警察について記した著書でした。
その中で、日本の治安の良さには、この「交番」が大きな役割を果たしていると紹介されたのです。
アメリカで始まった「ポリスボックス」と違って、警察官が常駐し、地域を見回るだけでなく、そこに住む住民と交流する中で連携して街の安全を守るという形が、犯罪を予防につながっているという紹介でした。
これをきっかけに、日本の「交番」は世界で注目されるようになりました。
今では、「交番」の仕組みを「KOBANシステム」と呼び、名称も、そのものの「KOBAN」が、アメリカやラテンアメリカ、アジアなどで導入され始めています。
犯罪の多かったニューヨークでは、1993年にKOBANシステムが導入され、犯罪率が軽減しました。
「世界一危険な地区」とされるほど治安の悪かったブラジルのサンパウロでは、JICAと日本の警察庁も支援をし、KOBANが設置されました。
その結果、10年後には凶悪犯罪も2割程度まで減ったそうです。
このように、「KOBANシステム」は、日本を飛び出し、世界中の治安を守っているのです。
交番がKOBANになったのは何故?ローマ字の理由 まとめ
日本の「交番」が「KOBAN」と表記されているのは、海外の「ポリスボックス」の仕組みと違うことが理由でした。
その、日本で生まれた、地域に密着し、地域の治安を守る「KOBAN」というシステムが、今や世界の「KOBAN」システムとして定着しつつあることも分かりました。
いつでも街にある「交番」が、実は、こんなに世界で活躍してるなんて意外ですね。
これからは、交番を見る目が変わりそうです。
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